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事業を守るためのBCPとは?初心者も簡単にわかる基礎ガイド
突然ですが、「BCP」という言葉を知っていますか?
単語自体は聞いたことがあっても、内容については詳しく分からないという方も多いのではないでしょうか?
BCPとは、災害や不測の事態に迅速に対応し、事業を守るための計画のことです。
この記事では、BCPがなぜ必要なのかを解説します。また、具体的な計画の作成手順や注意点についてもまとめました。
最後までご覧いただくことで、BCPの概要や重要性が理解できると思いますので、ぜひ最後までご覧ください!
BCP(事業継続計画)とは?
BCP(Business Continuity Plan)とは、災害や緊急事態が発生した際に企業が事業を継続し、迅速に復旧するために策定する計画です。
日本では、地震や集中豪雨などの自然災害が、企業に直接的な影響を及ぼす事態が発生しています。
そのため、企業の存続や取引先からの信頼獲得、従業員の安心感確保といった観点からBCPの重要性が高まっています。
簡単に言えば、BCPは企業が未来の不確実性に対応するための「安全策」であり、災害発生時にも業務を継続できる体制を構築することがその目的です。
BCPとBCMの相違点
BCPとBCMは、どちらも企業が予期せぬ災害やトラブルに備えるための重要な概念ですが、その役割には違いがあります。
BCPは「緊急事態が起きたときに、どうやって事業を継続させるか」を計画するものです。
例えば、地震や停電などの災害が発生したときに、業務をできるだけ早く再開するための具体的な対応策を定めることがBCPの役割といえます。
一方で、BCMは、そのBCPを実際に有効に機能させるための管理プロセスを指します。BCMはBCPの策定から、リスク分析、社員の訓練、定期的な見直しまでを含む継続的な取り組みです。
簡単にいえば、BCPは「何をするか」の計画であり、BCMは「どうやってそれを管理するか」の方法論です。
BCPとBCMを一緒に計画することで、企業は突発的な事態に迅速かつ効果的に対応でき、事業の継続性と安定性を高めることができます。
BCPとコンティンジェンシープランの相違点
まず、BCPは「事業の継続を目的とした計画」ということです。
自然災害、パンデミック、サイバー攻撃など、企業活動に大きな影響を与える事態が発生した際にも、事業が中断しないようにしたり、迅速に復旧できるように備えたりといった観点から制定します。
計画の作成に関しても、事業の最優先業務を特定した上で、それを維持するための手段や復旧プロセスを事前に決めます。
目標は、事業が完全に止まってしまうことがないように、最低限の機能は動かし続けること、そして、事業停止の危機を乗り越えることです。
一方、コンティンジェンシープランは、「特定のリスクや緊急事態に対応するための計画」のことを指します。
BCPと異なり、事業全体の継続を念頭に置くのではなく、緊急事態が発生した際の短期的な対応策に焦点を当てているのが特徴です。
例えば、システム障害が発生した場合に仮で利用するシステムの整備や、原材料の提供が止まってしまった際に他の供給元を確保するための手順など、迅速な対応を重視しています。
つまり、BCPが長期的かつ全社的なリスク管理に焦点を当て、事業継続までを意識しているのに対し、コンティンジェンシープランは特定のリスクや緊急事態に対する即時的な対応策に特化しています。
どちらもリスク管理の重要な要素ですが、対象となる期間や範囲、対応の深度が異なる点には注意が必要です。
なぜBCPが必要なのか
BCPを導入することは、企業にとってさまざまなメリットがあります。
ここでは、なぜBCPが必要なのかを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
災害発生時に被害を緩和できる
BCPの導入は、災害発生時に企業の被害を最小限に抑えるために不可欠です。
その理由として、事前にリスクを特定し対策を計画することで事態が起こった際の対応を迅速化し、事業の中断期間を短縮できることが挙げられます。
例えば、東日本大震災においてBCPを実施していた企業は、他社に比べて早期に業務を再開させることができました。
BCPは災害時の損害緩和に極めて有効であることが証明されています。
東日本大震災のときのBCP事例が気になる方は、以下の記事をご覧ください。
→東日本大地震対応事例 | 連載・コラム | BCP策定支援ポータル | 東京都中小企業振興公社
取引先からの信用性を高められる
BCPの策定・実施により、企業は取引先や顧客からの信頼を獲得し、信用性を高めることができます。
企業があらゆるリスクに対して適切に準備をし、迅速に対応できる体制を整えることで、企業の管理体制や統率が整っているとアピールできるでしょう。
企業が安定していて信頼できるパートナーであればあるほど、新たなビジネスチャンスを創出し、競争優位性を高められます。
従業員が安心して働ける
BCPは従業員が安心して働ける環境を構築する上でも重要な役割を果たします。
なぜなら、BCPにより事業の継続性が確保されることで、従業員は職を失うリスクが低減され、職場に対する不安が軽減されるからです。
実際に、BCPを含む安全対策の徹底は従業員の士気向上や安心感に繋がり、彼らがより安心して業務に専念できるようになります。
このように、BCPは企業文化の一環として、従業員に対する配慮としても価値があるのです。
BCPの作成ステップ
BCPの概要や目的が分かったら、実際にBCPを作成していきましょう。
ここでは、BCPの作成方法をステップに分けて解説します。
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それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.BCPの基本方針を固める
BCPを導入する際、まずは、会社が何を一番大切にしているかを明確にする必要があります。
基本方針を定めることで、全ての出発点となり、全社員が同じ価値観のもとで行動できるようにします。
ここでは、「顧客へのサービスを継続する」「従業員の安全を確保する」といった具体的な方針を決めるようにしましょう。
2.重要な業務やリスクを考える
基本方針が決まったら、企業活動の中核となる重要業務を特定し、それらに影響を及ぼすリスクを洗い出します。
事業を継続させるために不可欠な要素を洗い出し、災害時や緊急事態発生時に維持すべき業務の優先度を定めることが重要です。
3.リスクを把握し優先順位を決めておく
リスクにはどれも対処が必要ですが、全て一度にはできません。
どこから手をつけるべきか、優先順位を決めましょう。
優先順位を決めることにより、万が一の時に最も重要な業務を守りつつ、効率的に問題に対処することができます。
優先順位の高いリスクには、より多くのリソースを割り当て、迅速に行動できるように準備しましょう。
4.具体策を決める
優先度が高いリスクに対して、どのような対策を講じるか具体的な計画を立てましょう。
例えば、重要なデータのバックアップや代替勤務地の設定、緊急連絡網の構築など、事業の継続と従業員の安全を確保するために対策を詳細に計画します。
5.社内共有
策定したBCPは、社員全員に共有し、理解してもらう必要があります。
情報の共有に合わせて、定期的な訓練や講習を実施することで、BCPに関する理解を深められます。
また、BCPは一度作成して終わりではなく、定期的な見直しと改善が必要です。
社内の変化や外部環境の変化に応じて、常に最適な状態を保つようにしましょう。
BCPのデメリットと注意点
BCPには、デメリットと注意点が存在します。
BCPを策定するには、デメリットと注意点について理解しておく必要があるでしょう。
ここでは、主に注意したい3つのポイントを紹介します。
BCP策定には費用がかかる
BCPを計画するときは、専門家に相談することが多くなります。
そのため、30万円から100万円以上という大きなコストがかかることがあるでしょう。
さらに、必要な設備やサービスを導入するための追加費用が生じる可能性も高いです。
BCP策定に関わる費用は、政府や地方自治体が提供する補助金を利用することで、負担を大幅に減らすことが可能です。
補助金の制度は、状況によって変化しますので、計画前にしっかりと調査し、賢く計画するようにしましょう。
BCPが上手く機能しないことがある
残念ながら、BCPが常に完璧に機能するわけではありません。
新型コロナウイルスのパンデミックのように、予測不能な事態が発生することもあります。
そのため、さまざまな状況を想定した訓練を定期的に行い、計画を見直すことで、実際の緊急事態に迅速かつ適切に対応できるようになります。
BCPは定期的に見直しが必要
BCPは「作って終わり」ではありません。
状況が変われば、計画も更新する必要があります。
例えば、新しいリスクが発生したり、事業の優先順位が変わったりすることもあります。
そのため、BCPは定期的に見直し、必要に応じて内容を更新することが重要です。
これにより、常に最新の状況に対応できる計画を保持することができます。
BCPの取り組み例
ここでは、具体的な取り組み例をいくつか紹介します。
1. 災害対策訓練の実施
例えば、地震や火災などの緊急時に社員がどう対応するべきか、避難経路の確認や安全確保の方法を学ぶ訓練です。
訓練を通じて、実際の災害発生時に混乱を最小限に抑え、迅速に行動できるようになります。
また、緊急連絡体制や非常時の役割分担も明確にしておくことで、よりスムーズな対応が可能です。
2. リモートワーク環境の整備
クラウドサービスを利用して遠隔から会社にある情報にアクセスできるようにしたり、社員が自宅や他の場所から仕事を続けられたりといった設備を整えましょう。
リモートワーク体制があれば、オフィスが一時的に利用できなくなった場合でも、事業全てが中断する事態を防げます。
3. 代替供給チェーンの確保
BCPを導入している企業では、主要なサプライヤーに何らかのトラブルが発生した場合に備えて、代替の供給元を確保しておくことが一般的です。
供給元を複数確保しておくことで、物資の供給が途絶えたとしても、事業の停滞を最小限に抑えることができます。
特に製造業や物流業においては、このような対策が事業継続に不可欠です。
4. データのバックアップと復旧対策
災害やサイバー攻撃によりデータが失われるリスクに備え、定期的なバックアップを行いましょう。
さらに、バックアップデータを安全な場所に保管し、迅速に復旧できる体制を整えることが、BCPの成功に直結します。
多くの企業では、複数のデータセンターやクラウドサービスを利用して、災害時のデータ消失に備えています。
5. 危機管理チームの設置
チームを組織化することで、災害発生時に迅速な判断を下し、全社員に指示を伝える役割を果たします。
また、事前に緊急時の対応マニュアルを作成し、必要に応じて最新の情報を反映させることで、常に万全の体制を保つことができるでしょう。
BCPを導入して会社や従業員を守ろう!
この記事では、BCPについて詳しく解説しました。
簡単に言うと、BCPは会社を守り、従業員が安心して働ける環境を確保するための計画のことです。
事業のリスクを事前に評価し、必要な計画を立てることで、緊急時の被害を最小限に抑えつつ迅速な業務回復が図れるでしょう。
ジャパンニューハンでは、BCP対策のご提案をしています。
地震などで発生する事業に関する災害や被害を最小限にとどめるリスクマネジメントとして、お客様の事業や環境を把握し、一緒に対策方法を考えます。
BCP対策をご検討の企業の方は、ぜひ一度ジャパンニューハンにご相談ください。
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